このゲームをすこぶる簡単に表すとすれば、「現代版ダンマス」となるだろう。
ダンマス、即ちダンジョンマスターを知らない人に説明するならば、「リアルタイム3DダンジョンRPG」とでもなるのだろうか。
探索、戦闘、インベントリを開いている間さえも時間は常に流れ続ける。
時間経過により、プレイヤーの分身である冒険者達は腹を空かせ、松明は燃え尽きる。
食料の補給を怠れば不利になる。
リアルタイムが生み出すリアリティが、地下迷宮を探索する疑似体験に説得力を与える。
それがこのゲームだ。
しかしGrimrockはただのダンマスの焼き増しでは無い。
グラフィックや技術の進歩はダンマスでは得られなかった視覚的なリアリティを提供し、テンポの速い戦闘はよりアクション寄りになった。
昔ながらのグリッド式四方向移動で、壁のテクスチャやオブジェクトは兎に角使い回しが多い。
$15のインディーズゲーだし仕方がないじゃないですかーっ!
と言ってしまえばそれまでなのだが、意外とこのゲームはそれが気にならない。
元々ダンジョンが舞台であるため、薄暗い。その上で松明等の光源によって、見え方がかなりダイナミックに変化する事もあり、雰囲気でかなり騙される。
勿論、敵の影やオブジェクトの影もキッチリ反映される。
前世紀のシステムを踏襲しつつも、グラフィックは現代的。
そのギャップが堪らない。
子供の頃好きだったお菓子を、今になって大人買いするような、そんなリッチな気分を味わえる。
ダンジョン探索の肝となるパズルや仕掛けもよく出来ている。
基本的な仕掛け自体は同じ物が使われているが、その解法はパズル毎に異なるため、マンネリ感は無い。
何箇所かノーヒントの所もあるが、基本的にはヒントが用意されている為、解いていて理不尽感が無いのも良い。
戦闘は前述した様にリアルタイムで進行する。
各キャラクターの攻撃にはクールダウンが必要で、正面切って足を止めながら戦うとすぐに死ぬ事になる。
基本はヒット&アウェイ。
また、敵を側面や背後から攻撃すればダメージが上がる他、命中率も上がる。
敵も四方向にしか移動しないので、上手く回りこんだり、地形を利用したりと、立ち回りが問われるだろう。
足を止めると即座にやられかねないバランスだけに、複数の敵に囲まれるなどすると致命的になる。複数の敵が居る状況での駆け引きは中々熱い。
あとは、この手のゲームではお馴染みの初見殺しが何箇所かある。
最近ではこういった物も少なくなりつつあるが、こういうのも風情があって、たまにやると良いものだ。
ダンマスが好きな人は勿論、ダンジョンに潜りたいという人は検討してみて良いだろう。
値段分は十中八九、元が取れる。